keigo_fujii’s diary

いつも眠い

どうせ終わってしまうなら、楽しいことを選びに行こう

十月、朔の早朝、鋭くてひんやりとした空気の中、パーカーのフードを深めに被り、イヤホンを耳に突っ込んで、ART-SCHOOLの1stアルバム「REQUIEM FOR INNOCENCE」を聴きながら歩いた。俺の住む街には猫が多い。有志のボランティアの手によって去勢された野良猫の耳がV字型にカットされているのを見かける度、なんとも言えない気持ちになる。正しさや優しさなんて呼ばれる曖昧なそれらの捉え方は人それぞれで、受け取る側の精神状態や置かれた状況に拠って捻じ曲がって見えたり聞こえたりする。俺には俺の、君には君の正しさや優しさがあってそれを大事に抱きしめていればそれでいいんだよ。半ばヤケクソ気味にそんな事を想った。
2016年10月6日、俺が「白鳥の下で」というバンドを結成し、初めてライブをした日。もうすぐ丸一年が経つ。その日に発売したミニアルバム「SWAN」に収録されている曲は、冒頭に収録されている『ホワイトアウト』を除き、ソロでの活動をしていた頃に制作したもので、古いものは4.5年ほど前から歌っている。
現在レコーディングを控えている楽曲群は今年、5人体制になってから制作したもので、前作とは歌詞の言葉の選び方がかなり変わっているように思う。実生活では丸くなった、可愛くなったなんて言われることもあって、歌詞でも素直な表現ができるようになったのかもしれない。俺は俺の人生をかけて、君は素敵だよ、と歌い続けたい。生き続けることを選んだ人を助けてあげたい。こんなに恥ずかしい事だって言えるようになってしまった。
久しぶりに会った友人は「誰かを助けたいだなんて思わなくたっていいんだよ」と笑っていた。誰かを助けたいなんてエゴだ。自分でもそう思っている。その人の瞳はとても綺麗だった。